2019年3月25日 発行 141号
(バックナンバーはこちら

ICAS通信
2019年 4月号

「素晴らしい季節到来なるも ‼」

3月3日の「桃の節句」が過ぎ、いよいよ桜の季節の到来です。3月下旬から4月にかけて桜前線が北上し、日本は桜一色に染まります。

4月は別名「卯月」といい、卯の花(ウツギ)が語源だという説があります。

いずれにせよ、4月は紅白取り混ぜた花々で覆われる素晴らしい季節を感じさせてくれる月なのです。

この間、株式相場は、「節分天井」「彼岸底」と言われる時期を経過し、4月新年度入りもあって、上昇気流に乗ると見る傾向があるようです。

しかし、今年は4月下旬からのゴールデンウイークが10連休となります。米国では「セル・イン・メイ」(5月は売り)という格言もあります。引き続き慎重な投資を心がけましょう。

イカスでは投資クラブ、投資勉強会の他、企業見学会、シネマ倶楽部、カラオケ倶楽部、ゴルフ倶楽部など、幅広いコミュニティーの組成にも力を注いでおります。
イカスホームページをご覧いただき、会員の紹介で誰でも参加いただけますので奮ってご参加ください。

 

目 次

  1. 鎌田留吉レポート    Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)
  2. 株式相場展望      目が離せない「女王陛下のお気に入り」と「CTA」
  3. 株式投資力クイズ問題  株式投資力クイズ問題
    クイズの回答
  4. イカスからのお知らせ  イカスからのお知らせ

1. 鎌田留吉レポート

Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)

千葉の県人 鎌田 留吉

MMT(Modern Monetary Theory【現代貨幣理論】)の議論が米国で喧しい。「自国通貨建てで借り入れができる国は、通貨を際限なく発行できるためデフォルト(債務不履行)に陥ることがなく、財政赤字を心配する必要がない。」という考えである。

2月26日の米議会でFRBのパウエル議長がこの考えにつき質問されたとき、「全く間違えている」と答えたことで、議論に火が付いた。

錚々たる人々が相次いで参戦した。グリーンスパン氏は「外国為替市場を閉鎖しなければいけないね。どうやって為替交換すればいいのかね。そんなことが可能ならみんな自国通貨から逃げ出そうとするだろう。」と答えた。ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ教授も「投資家が国債を保有したがらなくなったら、その通貨についても所有したいと思わないだろう。通貨を投げ売りしたらその結果はインフレだ」と言って否定している。更に元財務長官のローレンス・サマーズ氏は、いわゆるフリーランチを与える理論だとし、ブードウ―経済学(編集註:Voodoo Economics、呪術経済学)の再来とみている。 「MMT論者は閉鎖経済に基づいて議論するが、これを実行すれば為替レートが崩壊する可能性が高い。これがインフレを高め、長期金利を上昇させ資金逃避を増やし実質賃金を押し下げる。」として反対している。

この理論を強く提唱するのはニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授(写真)だ。この人物は2016年の前回大統領選でバーニー・サンダース氏の顧問を務めた。この議論が高まりをみせているのは、昨年の中間選挙で議席を獲得した民主党急進左派の台頭がある。「新社会主義者」とさえ呼ばれている彼らは温暖化対策への財政拡大、国民皆保険の導入、高所得者層への高率課税による過激な所得の再分配を求めている。

世界中で超・超がつく金融緩和政策の限界が明らかに出てきている。本来なら財政政策を発動できる余地がないから、金融政策に委ねられた景気刺激であったはずだ。それが他に打つ手なしということで再び財政政策を中心に据えざるを得なくなったと思われる。その為、目的が単なる「景気刺激」では説得性に欠けると思ったのであろう、もっと天下国家的な問題やグローバルな問題解決のため、例えば「完全雇用の実現」のため或いは「国民皆保険の導入」のため、或いは「地球環境を救うため」という壮大な理念を掲げることになったと思われる。

MMT理論を既に実施している国がある。対GDP比債務残高ダントツ1位の236%を誇る我が日本である。無力感からか、その国ではもはや議論さえ起らない。それに対し108%の米国でこのような議論が 澎湃(ほうはい)として起こっているということは、まだまともな国であることの証であろう。
抑々(そもそも)、政府の支出は税金で賄わなければならないのか?いっそ税金を無くし、貨幣の増刷だけで賄ったらどうだろうか?

対内的にも、対外的にも貨幣価値が毀損されることはあきらかではないか?

2019.3.20 記

2. 株式相場展望

目が離せない「女王陛下のお気に入り」と「CTA」

イカス専務理事 望月純夫

2月に見た映画は、「メリーポピンズ」「七つの会議」「雪の華」「ファーストマン」「ちいさな独裁者」「女王陛下のお気に入り」の6作品でした。

イカスシネマ倶楽部では女王陛下のお気に入りを観ました。主演はオリヴィア・コールドマンで、孤独な女王(スチューアート朝最後の君主、アン王女)を演じアカデミー賞主演女優賞を受賞し、その女王の寵愛を取り合う2人の女を、エマ・ストーンとレイチェル・ワイズが演じました。レイチェル・ワイズの颯爽としたブーツ姿などの衣装、絢爛な美術、あらゆる部分が質の高さを感じさせます。皮肉で乾いたユーモアがあり、切れ味のある作品と言えます。大きな流れとしては史実に沿っていますが、歴史の裏部隊を下衆の勘繰りで解釈していきます。

さて株式市場では、東京市場の迷走ぶり、不人気ぶりは著しいものがあります。12月末から翌年3月初旬までの動きでは、米国、中国に大きく遅れを取りましたが、その遅れを取り戻すエネルギーが感じられません。

その明確な証拠は外国人投資家の動向に現れています。

長期の投資家は、昨年1年間では現物株式を5兆7447億円売却し、今年に入っても2月第3週までに7852億円を売り越しています。

3月に入っても売りが継続しています。ただ同期間に短期の投資家であるCTA(商品投資顧問)は1兆4732億円と大幅に買い越しています。昨年10月2日の高値24,448円まで押し上げたのは、このCTAです。

その後、米長期金利の急騰を嫌気し、突如10月に4兆164億円の莫大な株式先物売りを仕掛け、昨秋の暴落相場に繋がっただけに、CTAの動向には目が離せません。手のひら返しの相場急変のリスクに注意ください(裁定の解消売り)。

3.株式投資力クイズ問題答えは最下段にあります)

1:株主についての問題です。間違いはどれですか。

  1. アクティビストとは、企業に経営改革や株主還元の強化を求める株主である。
  2. 新明和工業は株主レオの要望で21年3月末まで中期経営計画で、連結ベースで配当性向を40-50%にすると明言した。
  3. 一世を風靡した旧村上ファンドはエフィッシモ・キャピタル・マネージメントとして復活した。
  4. このアクティビストの活動は、旧村上ファンドの解散後も影響はなく拡大した。

2:元素が使われる領域についての問題です。間違いはどれですか。

  1. イリジウムは液晶パネルに使われている。
  2. リチウムはEVの電池に使われている。
  3. パラジウムは中国で、リチウムはロシアで一番生産されている。
  4. パラジウムは水素金属合金として、電子部品の材料とされている。

3:ヨーロッパで起きている状況についての問題です。間違いはどれですか。

  1. ギリシアのピレウスは地中海の要衝である。
  2. このピレウス港の管理運営権はEUである。
  3. 人気のエーゲ海クルーズのヨットも、この港から出港する。
  4. 2016年に30億ドルで買収されたものである。

4:引き続いてユーロ圏で起きている状況です。間違いはどれですか。

  1. 旧ユーゴスラビアの北端にあるのがスロベニア共和国である。
  2. トランプ大統領のメラニア夫人は同国の出身である。
  3. イタリアとスロベニアはハイウェイで繋がっているが、イタリア からスロベニアへの買い物客は少ない。
  4. 中国が呼び掛けているイタリアの港のトリエステ港は古代ローマ時代からの軍事要衝でした。

5:引き続いてユーロ圏で起きている状況です。間違いはどれですか。

  1. 政治的変化の地殻変動の震源地はフランスであり、それが周辺国に飛び火している。
  2. ドイツの親中派の拠点は最西部の港湾都市デュースブルグにある
  3. デュースブルグはライン川とルール川の合流点にあり、世界最大の内陸校港である。
  4. 習近平の大看板「一帯一路」の終着駅である。

お知らせ

4月のイベント: 

 

  • 株式投資塾(昼間編):4月09日(火)16時 ~ イカス事務所 新橋三田クラブと合同開催
  • 株式投資塾(夜間編):4月16日(火)18時半~ イカス事務所
  • シネマ倶楽部    :4月24日(水)15時 ~ 日比谷映画館&懇親会
  • カラオケ倶楽部   :4月26日(金)18時 ~ 西新橋「倶楽部エル」

◇ ◇ ◇

 

  1. イカスでは会員制度として「一般会員」と「投資クラブ会員」があります。
    一 般 会 員」‥‥ 会費無料。「活かす通信」ほか各種イベント・セミナー等の案内
    投資クラブ会員」‥‥ 年間運営費36,000円。一般会員サービスに加えて投資クラブで専門情報を受けて実投資に参加できます。
    ※まずは、多くの方に一般会員への登録で第一歩を!イカス事務所にご連絡いただき登録をお願いします。
  2. メルマガ配信登録、アドレス変更、配信解除連絡は以下のメール(またはファクス)にてお願いいたします。
    info@toushi−club.com
  3. より高度な具体的な銘柄選びは週間有料メルマガを活用ください。
    週間有料メルマガ:年間24,000円 毎週日曜日配信です。
    お申し込みは、以下のメール(またはファクス)にてお願いいたします。
    info@toushi−club.com

◇ ◇ ◇

【活かす通信】

発行人:特定非営利活動法人イカス www.toushi-club.com

*当メールマガジンについてのご意見は以下のメールにてお願いいたします。

メール:info@toushi−club.com 

電話:03-3432-5859 FAX:03-3432-5869

発行責任者:林 孝 男

【株式投資力クイズの答え】

1→4 村上ファンドの解散後は沈静化 2→3 パラジウムはロシア、リチウムは中国が2大生産地 
3→2 管理運営権は中国海洋運輸集団(COSCO)にある 4→3 イタリアからスロベニアへの買い物客は増えている 5→1 地殻変動の震源地はドイツである。