2019年4月25日 発行 142号
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ICAS通信
2019年 5月号

「続く! 重要イベント」

日本のナショナルフラワー(国花)の代表の1つである「桜」は、4月の誕生花。他にも、コデマリ、フジ、カタクリ、タンポポ、ワスレナグサ、ミヤコワスレなど色とりどりの花々と出会った先は、早や5月(皐月)。立夏と共に夏の訪れです。田植えも始まり緑のじゅうたんのような景色が広がり、のどかな素敵な季節となります。

一方、世界の政治、経済情勢は先の読みにくい難しい局面に直面しています。4月の統一地方選、米中貿易戦争の行方、5月の新天皇即位、6月のG20首脳会議(大阪)、7月の参議院選挙と重要イベントが続きます。慌てずじっくりと状況判断をして行きましょう。

イカスでは投資クラブ、投資勉強会の他、企業見学会、シネマ倶楽部、カラオケ倶楽部、ゴルフ倶楽部など、幅広いコミュニティーの組成にも力を注いでおります。

 

目 次

  1. 鎌田留吉レポート    MMTを実践してきた中国の末路
  2. 株式相場展望      映画を楽しみながら今後の株式市場を考える
  3. 株式投資力クイズ問題  株式投資力クイズ問題
    クイズの回答
  4. イカスからのお知らせ  イカスからのお知らせ

1. 鎌田留吉レポート

「MMTを実践してきた中国の末路」

千葉の県人 鎌田 留吉

ヘイマン・キャピタルのカイル・バス氏(写真)が、「中国はこの10年間で、世界の歴史におけるどの国の通貨発行総額よりも多い」「30兆ドル相当の人民元を発行しており、それが為替レートの大幅調整を引き起こす」懸念を指摘している(The Financial Pointer 2019.3.8.)。

実は私もリーマンショックの対応として4兆元(約65兆円)の財政出動をした時から、その原資は通貨の大量発行により賄われる筈でその累積により「元」は大きく減価するであろうと言い続けてきた。しかし残念ながらこの10年近くその予想は大きく外れまくってきたのだった。

それは何故だったか?「元」通貨が売られる要因よりも買われる要因が大きく勝っていたからであった。私が大阪の事業法人担当から、急遽ファンドマネージャー就任を命じられたのは平成5年(1993年)だった。
当時は中国ブームで、私の初仕事は中国関連の銘柄をピックアップすることだった。中国に関心を抱いている企業は全て中国を市場として考えていた。彼らはその支払いを元で受け取るつもりなのだろうか?外貨の蓄積のない国の支払い能力など全くないではないか?そういう疑問をもった。
案の定、中国への関心は急激に薄らいだ。当時中国で着実に売り上げを伸ばしていたのがミシンのJUKI(6440)であった。世界のアパレル工場となることが、「世界の工場」の嚆矢となった。先進国の企業は中国を市場としてではなくその安い労働力を利用する拠点とすることに方針転換した。

中国には多くの合弁企業が作られ、多くの「元買い」需要がおこった。
中国資本が50%以上を持つ企業が外国に輸出するときそれにより生じる国としての貿易黒字は100%中国に属する。従って中国は対外純資産を着実に積み上げることになり、中国は投資先としての(=「元買い」の)魅力を募らせていった。それは外国からの中国投資(=中国の対外負債)が積みあがることと同義である。

2018年現在の中国の対外純資産は日本が第1位の317兆円、中国が第3位の197兆円である。それに対し、政府が保有する対外純資産である外貨準備高は中国が第1位の352兆円、日本が第2位の137兆円である。

このことは何を意味するかというと、①日本の民間部門が持つ対外純資産は180兆円であり、中国の民間部門が持つ対外純負債が155兆円であるということである。②日本が円高圧力を抑えるために大量の円売りドル買いを行い137兆円の外貨準備を貯め込んだように、中国も元高を抑制するために大量の元売りドル買いを行い352兆円の外貨準備を貯め込んだということである。
つまり、そうせねばならなかったほどに中国への直接投資と証券投資の為の元買い需要(=元高圧力)が大きかったということだ。2014年に4兆ドルまで積みあがった外貨準備高が15年のチャイナショックで3兆ドルすれすれになった。中国から逃避する資金の元売りに対抗するため、中国政府がその保有するドルを売って元買いに1兆ドルを費やした証左である。

そして、米中貿易戦争による中国経済の減速という「今」を迎えた。「元売り」要因が「元買い」要因を上回る下地が整った。中国の賃金の上昇で既に始まっていた、生産拠点を中国からベトナム等に移す「元売り」ドル買いが、中国からの輸出に課せられる関税を逃れるため、加速されようとしている。
更に中国の膨大な民間の負債が不良債権化される蓋然性が高まった。中国の外貨準備が減りだしたら、元暴落の始まりとなる。今や元を買う主体は政府しかないのだ。

2019.4.12 記

2. 株式相場展望

映画を楽しみながら今後の株式市場を考える

イカス専務理事 望月純夫

3月は良い映画に出合えました。
「グリーンブック」「運び屋」「ビリーブ」「ブラック・クランズマン」「ビールストリートの恋人」「二人の女王」「天国でまた会おう」「サムライマラソン」「キャプテンマーベル」「きばいやんせ私」。10作品中の半分はアカデミー賞にノミネートされた作品です。

人種差別、男女差別をテーマにした作品が多いのが特徴です。トランプ大統領には、アメリカファースト、白人至上主義的な発言・行動が目立ちます。特に2017年8月12日バージニア州シャーロッツビルで起きた極右集団と反対派との衝突デモで女性が死亡した事件で、白人至上主義者を名指しで批判しなかったことに対して、トランプ大統領に対する批判の声が上がり、48時間後に、「人種差別は悪だ。その名の下に暴力を振るう者は犯罪者でごろつきだ」と述べ、人種差別団体ク―・クラックス・クラン(KKK)やネオナチ、白人至上主義に対して、「唾棄すべき」存在だと語りましたが、時既に遅しでした。

ブラック・クランズマンは、KKKに潜入し捜査をする危険な仕事、その仕事を黒人とユダヤ人の警察官が行ったという面白さがあります。シネマ倶楽部では、女性の権利を勝ち取る努力をした女性弁護士の物語、ビリーブを鑑賞しました。4月のVICE(チェイニー副大統領)をお楽しみに。

4月は新規資金が市場に入るとの期待もあり、例年好パフォーマンスに恵まれる月です。また、新元号が決まることで、ご祝儀相場も期待でき、米中経済摩擦も合意の動きがあり、米中相場も堅調に推移しています。

その流れに便乗し漸く22,000円を更新。景気が後退する局面になっても打つ手が限られている日銀、政府、アベノミクスの賞味期限も切れ、割安でも見向きもしない外国人投資家。マイナス材料(トリプルパンチ)は、消費税増税、働き方改革に伴う残業等の収入源、オリンピック需要の終了です。ここにきて中国の景気回復の期待がたかっています。ただ台湾の総統選に親中派・国民党で立候補する鴻海の郭氏の問題は今後の米中ハイテク摩擦に影を落とすことに。消費税増税の棚上げも話題に上るようになってきました。

5月20日の1-3月期のGDO速報値が重要な分岐点となります。消費増税棚上げこそが株式市場の下落を止める特効薬です。消費税についの考え方も、ブエノスアイレスG20頃から、債務残高対GDP比から純債務残高から対GDP比に変わり、日本に対する財政破たん論は過去の話となりつつあります。当面、新元号祝祭で、相場はジリ高となりますが、米市場の5月の格言、Sell in Mayにはお気お付けください。

3.株式投資力クイズ問題答えは最下段にあります)

1:テクニカル用語についての問題です。正しいものを選んでください。
75日移動平均線を25日移動平均線が上回る状態が示現しました。何と呼びますか。

  1. デッドクロス
  2. ミニクロス
  3. シルバークロス
  4. ゴールデンクロス

2:世界の電力事情についての問題です。石炭に依存する比率が高い国はどこの国でしょうか。

  1. 中国
  2. アメリカ
  3. 日本
  4. インド

3:様々な価値観を認める時代となりました。下記の記述で間違っているものはどれですか。

  1. 性的少数者のことをLGBTと言う。
  2. LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンーの総称
  3. LGBTは、日本の人口の15%に達している。
  4. 恋人かパートナー、相方という言い方が一般的である。

4:統合リゾート(IR)法案についての記述です。下記の記述で間違っているものはどれですか。

  1. 2019年3月26日にIRの要件などを定める施行令が閣議決定された。
  2. 同年4月1日から施行令は順次執行される。
  3. 2020年年代半ばに国内初のIR施設が開業見込である。
  4. 国際会議場の併設は認められるが、博物館や劇場、美術館などの施設は認められていない。

5:2つの経済協定が2年目入りとなりました。下記の記述で間違っているものはどれですか。

  1. EPA発効後も米国産の牛肉のシェアは変わらない。
  2. 2019年4月より牛肉の関税は26.6%に引き下げられる。
  3. EPAとは日欧経済協定のことである。
  4. TPPとは環太平洋経済協定のことである。

お知らせ

5月のイベント: 

 

  • 株式投資塾(昼間編):5月14日(火)16時 ~ イカス事務所 *新橋三田クラブと合同開催
  • 株式投資塾(夜間編):5月21日(火)18時半~ イカス事務所
  • シネマ倶楽部    :5月22日(水)15時 ~ 日比谷映画館&懇親会
  • カラオケ倶楽部   :5月24日(金)18時 ~ 西新橋「倶楽部エル」

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【活かす通信】

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電話:03-3432-5859 FAX:03-3432-5869

発行責任者:林 孝 男

【株式投資力クイズの答え】

1→1 デッドクロス 2→4 インド、比率は77%、2017年度 3→3 人口比は8.7% 4→4 博物館や劇場が含まれ、宿泊施設は10万平方㍍以上と規定されている。5→1 米興産のシェアは41%から39%に下がった。