2019年6月25日 発行 144号
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ICAS通信
2019年 7月号

「文月」

梅雨とは言えはっきりしない天気が続いています。7月になると別名「文月(ふづき) (編集註:または、ふみづき)」といいますね。7月は太陽が照りつける夏本番のイメージが強く、文や文字を思い浮かべる人は少ないのではないでしょうか。
ここで7月の大イベント「七夕」を思い出してみて下さい。もともとは和歌を綴りあうことが始まりだと言われておりますが、それが庶民に普及するに連れ、願い事を書いて笹竹に吊るす行事へと変わっていったようです。
その際、「文が上手に書けますように!」という願いが込められたことから、七夕の風習に因んで「文月」と呼ぶようになったとも言われています。

せっかくのこの季節、これからの投資判断や願い事を短冊にしたため、笹竹に吊るしてみては如何でしょう。何か新しい発想が生まれるかもしれません。

イカスでは投資クラブの開催、企業見学会、シネマ倶楽部、カラオケ倶楽部など、幅広いコミュニティーの組成にも力を注いでおります。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

 

目 次

  1. 鎌田留吉レポート    彼我の差 - その1
  2. 株式展望と映画サロン  目を離せない大会社の動向
    人生の豊かさは「人を許し感謝すること」
  3. 株式投資力クイズ問題  株式投資力クイズ問題
    クイズの答え
  4. イカスからのお知らせ  イカスからのお知らせ

1. 鎌田留吉レポート

「彼我の差 - その1」

千葉の県人 鎌田 留吉

オマハの賢人ウオーレン・バフェット氏が、株主宛て書簡の中で「自分の成功の多くが米国の追い風と呼ぶべきものの産物であることを喜んで認める」とし、「米企業・個人が『自分だけで成し遂げた』と主張することは大いなる傲慢だ」とさえ書いている。



オマハの賢人ウオーレン・バフェット氏

バフェット氏が数兆円の資産をなしたのは、彼の類ない投資手法が先ずもって賞賛されるべきであるが、米国に生まれ、米国を愛し、米国を信じ抜いたことへのご褒美でもある。

私の手元に、みずほ証券が四半期に一度改訂している株価・金利・為替の推移表と称するチャートがある。
その始まりは1987年初めで、日経平均は1万9000円ほど。その後3年でちょうど倍の3万8915円まで登り詰めた。その後はいいところなく、2003年には7607円まで下げた。リーマン・ショックの2009年に再び7054円の大底をつけアベノミクスで現在2万1124円(6月17日)を迎えている。要するに、32年掛けて殆ど横這いと言っていい。

このような為体(ていたらく) の日本に対して、彼の国アメリカの1987年初めのダウ平均は1800ドルほど。それがブラックマンデーという一時的下落はあったが、2007年には14164ドルをつけ、リーマン・ショックで6547ドルまで下げたものの、2013年には15000ドルを突破し、2016年末にトランプ氏が大統領に選出されると、上げ足を速め2018年10月には2万6828ドルを付けた。現在26112ドル(2019年6月17日)である。32年間で何と!14.5倍である。

2018年11月に開かれたNPOイカスの交流会で日経の前田昌孝氏が「貯蓄から投資へ」という講演をおこなった。私はそんな流れが起きる筈がないと思いながら聞いていた。1960年代初頭「銀行よ、さようなら、証券よ、こんにちは」という動きが一時的にあった。しかし、1965年の証券不況で脆くも崩れ去り、以後日本人の金融資産は現預金中心を続けるのである。事実、2018年3月末現在で、家計における株式と投資信託の比率は日本が14.9%しかないのに、彼の国では48%も占めている(現預金の比率は日本が52.5%、米国は13.1%)。
日本と彼の国では、株式市場への関心や資産運用に対する関心の度合いが隔絶している。


前田昌孝氏(日本経済新聞)

ヘッジ・ファンドと言われる運用形態が日本には殆どない。日本では投資信託といえばフルインベスト(常に100%近く株式を保有すること、パフォーマンスの差は銘柄の差で競う)であり、下げには滅法弱い。これに対し彼の国では、下げに特化したファンドも多数存在する。

リーマン・ショックに際しサブプライム・ローンに対する Credit Default Swap を安値で静かに集め「史上最大の大儲け」を果たしたジョン・ポールソンのような人間は日本では生まれようがないのだ。彼は世界中の人々が株式の値下がりに喘いでいる最中の2010年に49億ドルの収益を上げた。彼はNY大学の経営学部を首席で卒業し、ハーバード大学でMBAを取得している。そして母校であるハーバードに史上最大の4億ドルの寄付をしているのだ。

この30年間殆どゾーンで動いていたこの日本こそ売りでも儲けられる運用が発達するべきであるのに日本はロング(買い)一辺倒なのだ。 

令和元年6月18日記

2. 株式展望と映画サロン

イカス専務理事 望月純夫

目を離せない大会社の動向

令和時代に入る前の2月1日の週から9週連続で外国人投資家は2兆97億円の売り越しをしました。一方、ほぼ同期間2月8日から8週連続で証券会社の自己が2兆5600億円を買い越しました。

4月からは売りに転じ、5月連休明けから売り越し額増え9週連続の売り越しで、6月7日の週までの売り越し額は1兆2237億円と、まだ売り残があるようです。この売りを吸収しているのが外国人投資家かと考えていましたが、同じタイミングで売却をしていますが、相場を崩す程にはなっていません。衆参同時選挙により、消費税増税凍結を期待していましたが、これでは株価の上昇を加速させるエネルギーは足りません。

当分21,000円を天井とする個別物色相場という展開に。大会社の子会社を吸収するか売却するか、こんなテーマで日立の子会社(例、日立金属)、キャノンの子会社(キャノン電子)、ソニーの子会社(ソニーファイナンス)、信越化学の子会社(信越ポリマー)に注目が集まっています。トヨタが5年前倒しでEVの生産に注力する、これも大きなテーマですね。

人生の豊かさは「人を許し感謝すること」

先月は11本の映画を観ました。今年の通算では47本となりました。私の年間120本映画鑑賞のペースは崩れていません。1位は「しあわせなラザロ」2位は「僕たちは希望の列車に乗った」3位は「ドント・ウォーリー」4位は「アべンジャーズ」5位は「シャザム」6位は「チア男子」7位は「空母いぶき」です。

ドント・ウォーリー」は、時間調整のために立ち寄った渋谷ヒューマントラストで出会いました。
この作品は、2014年に亡くなられた風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を描いたものです。酒浸りの毎日を送るキャラハンは自動車事故により胸から下が麻痺し、車いすでの生活が余儀なくされ、益々深酒し周囲の人との衝突も激しく自暴自棄の日々を送っていました。あるきっかけで風刺画が認められ、持ち前の皮肉と辛らつなユーモア―を発揮し、不自由な手で絵を描く漫画家として第2の人生をスタートします。
Corky 役のミュージシャンで女優のキム・ゴードンは地味な役でしたが、やはり光りますね。映画は、人生を豊かにしてくれるのは財産でも成功でもなく、人を許すこと、人に感謝することだと教えてくれます。映画に感謝です。

3.株式投資力クイズ問題答えは最下段にあります)

今月は金融国際化・キャッシュレス化の動きや日本の財政に関連した問題が中心です。

1:MMT理論とは何でしょうか。間違っている記述を選んでください。

  1. 自国通貨で借りている財政赤字は印刷すれば返せるのだから巨額でも構わない。
  2. ということは、日本の財政赤字について、日本政府が破たんする筈がないので、性急な財政再建で景気の腰をおることはすべきではない。
  3. この説を唱える者は、財政赤字容認派と言われる。
  4. これを称してガリレオの天動説という。

2:海外送金についての記述です。間違っている記述を記述選んでください。

  1. ほとんどの海外送金は国際銀行間通信協会(SWIFT)のシステムを通じて決済される。
  2. SWIFTは1973年に設立され、本部をベルギーに置く。
  3. 各国の中銀システムが異なるため、コルレスと呼ぶ中継銀行を介して 取引をすることが多く、日本の代表的な中継銀行は日本銀行である。
  4. 2015年、人民元の国際銀行決済システム(CIPS)を導入した。

3:新しい時代の金融システムについての記述です。間違っている記述を記述選んでください。

  1. 2020年に無料アプリのLINE(ライン)が、みずほFGとLINEバン クを設立します。
  2. LINEが軌道に乗っても銀行のビジネスモデルへの影響は限定的です。
  3. LINEが力を入れるキャッシュレス決済では、LINEペイが資金決済法の資金業者として送金業を手掛けます。
  4. LINEの国内ユーザー数は月間約8000万人、キャッシュレス決済サービスの登録者は3200万人います。

4:日本の国債に関する問題で、間違っている記述を記述選んでください。

  1. 現在の日本では、安全な日本国債に投資することがベストな選択である。
  2. 日本全国の銀行には650兆円ほどの現預金がある。
  3. そのうちの260兆円が国債に投資されている。
  4. ゆうちよ銀行は個人から175兆円の預金を預かり、そのうちの100兆円が国債に投資されている。

5:日銀に関する問題で間違っている記述を記述選んでください。

  1. 2018年上半期の日銀のバランスシートでは、資産は546兆円、国債は462兆円で、最近ではETFの株式買いも増加している。
  2. 負債は542兆円で、そのうち395兆円が当座預金である。
  3. 政府の日銀への出資比率は5割を超えている。
  4. しかし、日銀は政府から完全に独立している。

お知らせ

7月のイベント:
  • 株式投資塾(昼間編):7月09日(火)16時~イカス事務所
  • 株式投資塾(夜間編):7月16日(火)18時半~イカス事務所
  • シネマ倶楽部    :7月24日(水)15時~日比谷映画館&懇親会
  • カラオケ倶楽部   :7月26日(金)18時半~西新橋「倶楽部エル」

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【活かす通信】

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電話:03-3432-5859 FAX:03-3432-5869

発行責任者:林 孝 男

【株式投資力クイズの答え】

1→D(正解は地動説)2→C(正解は三菱UFJ銀行)3→B(軒を貸して母屋をとられる懸念もあります)
4→A(血液と同じで多くの人が安心・安全ということで日本国債を保有すると、日本のデフレ脱却の道は遠いことになる)5→D(5割の出資があり民間であれば連結子会社である)