2020年4月25日 発行154号
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ICAS通信
2020年5月号

「突風 ‼︎ 夏の始まり」

桜の季節が終わったと思ったら、早や新緑の5月の到来です。桜色から若葉色へと景色は大きく変化し、1年で最高ともいえる風薫る素晴らしい時節を迎えることになりました。

ところが、投資面に限りますと注意が必要な月と言われているのです。米国で有名な相場格言「Sell in May, and go away」(5月に株を売って相場から離れよう)です。

おりしも、世界は新型コロナウイルスに汚染され、その被害が拡大しております。世界の主要都市は、まるでゴーストタウンの様相を呈するまでになってしまいました。経済活動の急収縮も世界中を覆いつつあります。これを防止すべく、米国はいち早く最大級の景気刺激策を実施し、その他各国も素早く追随しております。

この対応により、米国はじめ世界の株式市場は急速に回復基調に入ってきました。しかし、コロナ問題は不確定要素が強く簡単には収束しそうにないと想定しておくべきでしょう。

この格言が今年も当てはまるかどうかは不明ですが、波乱相場が継続することは間違いなく、暫く「休むも相場」を決め込むのも一法ではないでしょうか。

 


1.勝池レポート(連載8)

「インド経済の可能性③ - 人の力 - 」

今年の2月号に続きインド経済の可能性第3弾をお届けします。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、インド経済にも大きな試練を与えています。再び成長軌道に乗ることは短期的には困難です。
しかしながら、現下の危機は1方でインド経済が抱える、原油価格の高騰、国境紛争の勃発、大気汚染問題の深刻化などに起因するリスクを緩和しているとも言えます。
今回は、コロナ以後を見据えた中長期の視点で、インド経済の可能性を「人」をキーワードに、日本、中国、アメリカと比較して見てみます。

1. 人口の増加 昨年の日本の出生数は統計開始以来最少の約86万人でした。梓みちよさんが「こんにちは赤ちゃん」でレコード大賞を取った1963年には166万人の赤ちゃんが生まれ、それが第2次ベビーブームに繋がり、日本経済の高度成長の基盤となったことを思い起こすと、何とも寂しい数字ですね。インドのこの10年間の年平均出生数は約2,600万人でした。

2. 人口の移動 1980年の中国のGDPはインドの約1.6倍でしたが、現代は5倍です。その差の拡大の要因は主に都市化のスピードの違いにあります。今から40年前の都市化比率は両国とも20%近辺でしたが、現在は中国が約60% インドは34%です。また、都市人口を比較すると中国は現在約4億人、インドを上回っています。人口の都市部への移動は大変強力な内需のエネルギーを発生させます。人口はただ増えるだけでは経済成長に繋がりません。インドでは、これから急速に都市化が進み、2050年までに都市人口が3.5~4億人増えると予想されています。日本の人口の3倍が都市部に住み始めるわけです。だから、ユニクロも昨年大きな期待をかけてインドに出店したのだと思います。

3. 高度人材 昨年インドのバンガロールにあるスタートアップ企業の役員に、グローバル企業のインドシフトの状況について質問した際、1つの例で教えてくれました。それはIBMです。同社の世界の従業員の約40%は、現在インドのプネという1つの都市にいるそうです。これは凄いことです。ニューヨークに本社があり、世界で最も多くのAI関連特許取得件数を誇るIBMが、それ程までにインドの人材に依存している。最早インドの高度人材なしでは、これからの世界企業の成長はないという印象でした。因みにIBMのCEOはこの4月からインド出身のクリシュナ氏(写真)になりました。他にも、AI特許で優位に立つアメリカ企業のマイクロソフトとグーグルのCEOもインド出身です。インドは人材の宝庫です。

日本経済は、少子高齢化と高度人材不足という中長期の深刻な問題に直面しています。そこに新型コロナウイルスという大打撃が加わり、将来がますます心配です。この日本とは正反対に人口の増加と移動、そして人材の高度化が同時に進むと期待されるインド経済は,コロナ以後の中長期の投資先として無視できません。

2. 株式展望と映画サロン

ムッシュ 望 月

株式展望:「最近の株式市場」

景気の先行指標である株式市場、NYダウの2月12日の高値29,568ドルから3月23日安値18,213ドルまでの下落幅11,355ドルに対する半値戻しの23,890ドルをなかなか抜けない日々が続いていました。ようやく9日に24,008ドル、14日に24,040ドルを付け目標達成です。️↗

東京市場は、NYダウのピークの1ヵ月前の1月17日の24,115ドルが高値で、3月19日に安値16,358円を記録しました。東京市場(日経平均)の半値戻しは20,145円です。この間の下落幅は7,757円、下落率は32.2%と、NYダウの下落率38.5%よりも低い数値です。

しかし、30万円給付のような緊急経済対策を打っても19,500円が厚い壁となっていました。予算の組み替えにより1律10万円ということが決まり、ようやく市場は好反応。先週の前半は新型コロナの検査薬や治療薬が中心の相場ですが、徐々に出遅れ株を買う動きになりますが、半値戻し達成後は調整色を示し、2番底を形成することになります。

今回のコロナ危機により、日本の遅れていたオンライン治療が進むことは大きな前進とも言えます。特にメドピア(6095)、メドレー(4480)等の株が注目されました。

映画サロン:今月は映画から図書へ「隠されたパンデミック」

何と初めての経験ですが、映画は3月15日までに8本の映画を観ましたが、20日の週以降、映画館には行っていません。

私のランク付けでは、1位は「Fukushima 50」2位は「1917命をかけた伝令」3位は「弥生、三月君を愛した30年ー」4位は「仮面病棟」5位は「野生の呼び声」6位は「ジュディ 虹のかなたに」7位は「初恋ロスタイム」8位は「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」です。↗

今は、映画の代わりに始めたのは読書で、渡邊哲也の「世界と日本経済大予測2020」「2021年世界経済リスク入門」「新型コロナ恐怖後の世界」、小説は望月麻衣作の「京都寺町3条のホームズ(13)麗わしの上海桜」「京都寺町3条のホームズ(14)摩天楼の誘惑」、岡田晴恵の「隠されたパンデミック」「H5NI型ウイルス襲来」、中山裕次郎の「泣くな研修医」等です。

上記の著者、岡田晴恵はウイルス学者で、世界中で何年か置きに起きるインフルエンザ感染症に対して警鐘を鳴らしています。

新型インフルエンザ対策の不備を追及したことで厚労省を追われた主人公・ウイルス学者の永谷綾、同時期に弱毒型インフルエンザが発生し、同省の甘さが露呈します。綾は、政界や経済界に直訴し、厚労省の闇を暴いていき、非常に時代にマッチした作品になっています。

3.株式投資力クイズ問題答えは最下段にあります)

最近の政治経済情勢からの出題です。各問に答えてください。

1:OPEC(石油輸出機構)に関する問題です。OPECに加入していない国です。間違いを1つ選んで下さい。

  1. イラン
  2. イラク
  3. サウジアラビア
  4. ロシア

2:OPECに関する問題です。間違いを1つ選んで下さい。

  1. イラン、クェート、ベネズエラ等の国により1960年9月に設立された。
  2. 2018年7月現在では15ヵ国が参加している。
  3. 価格の決定権は国際石油資本にある。
  4. 世界最大のカルテルと言われている。

3:産油国の投資に関する問題です。間違いを1つ選んで下さい。

  1. 産油国の政府系ファンドはSWFと呼ばれている。
  2. 投資の特徴は優良個別銘柄中心に投資する。
  3. 各国は医療などの緊急の財政出動に伴う資金確保の為に株式の売却をすることもある。
  4. SWFの運用資金は800兆円と言われ、世界の時価総額の1割弱である。

4:5輪開催の経済効果についての問題です。間違いを1つ選んで下さい。

  1. 経済効果は通常開催の前年までに、建設投資など中心に8割以上が出てしまう。
  2. 開催に合わせて移動したり、テレビが売れたりする残りの経済効果は開催年に現れる。
  3. 今回、オリンピック、パラリンピックの延期により、その需要が1年先送りされた。
  4. 復興オリンピックというメインスローガンが壊れ、小規模なイベントに終わる可能性が強い。

5:景気の急降下(ピンチ)はチャンスである。間違いを1つ選んで下さい。

  1. 政府はオンラインでの病院治療については消極的である。
  2. コロナの発生により、デジタル技術により遠隔での勤務や教育が実施出きるようになった。
  3. リーマンショックにより米国では、地球温暖化対策への投資が進み、雇用や経済成長を生み出した。
  4. それはグリーンニューディールと呼ばれた。

4. イカスからのお知らせ


  • 株式投資塾(昼間編):5月12日(火)16時~イカス事務所
  • 株式投資塾(夜間編):5月19日(火)18時半~イカス事務所
  • カラオケ倶楽部   :5月22日(金)18時半~西新橋「倶楽部エル」

*新型コロナ問題でネット会議又は中止になる可能性があります。


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発行責任者:林 孝 男

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  1. D〉ロシアは非加盟国。
  2. C〉価格決定権はOPECにある。
  3. B〉投資スタールは指数に採用されている銘柄が中心である。
  4. D〉今回の延期により、世界が新型コロナを克服した象徴的なイベントとなり、自粛の反動もあり経済効果が高まる可能性がある。
  5. A〉政府によるオンラインでの病院治療の許可は大きな前進と言える。