2020年5月25日(No.9)

「中国経済の捉え方」

中国経済についての日本の専門家、経済評論家、証券会社のエコノミストなどの見方は、概して長い間とても悲観的でした。

中国経済に精通しているはずの、日本に住んでいる中国人専門家の予測でさえ大きく外れました。中国経済は直ぐにバブルが崩壊するどころか、日本経済を簡単に凌駕し、アメリカ経済をも脅かすまでに成長するとは誰も予想しませんでした。ですので、今更大間違いを認めたくないのか、上海株の暴落、米中貿易戦争、また現在のコロナウイルスの感染拡大などの、何か事が起きると「それ見たことか」と今までの自分たちの的外れな意見を正当化させようとします。

私は、この懐が深く、災いを転じて福となすような中国経済を、例え話で考えていました。
中国経済を中華料理に例えて説明すると、その発展の歴史は78年の改革開放を受けて、80年代に深圳、珠海などの広東省に設立された経済特区から始まっています。つまり広東料理が中国経済のスターターです。次の90年代にはドラゴンヘッド戦略(上海を龍の頭に譬えた)で上海料理が加わりました。 黄浦江 こうほこう 東岸の 浦東新区 ほとうしんく が経済発展の中心に据えられました。更に2000年代に入ると、中国経済の勢いは北京、天津などの 京津冀 けいしんき 経済区に北上しました。北京料理に広がった訳です。そして、2010年代には、残された中国四大料理の一つである四川料理がテーブルに並び、成都や重慶などの内陸部がホットになりました。

このように、中国経済はフカヒレスープに始まり、上海小籠包、北京ダック、マーボー豆腐へと広がって行った流れです。経済の発展が殆どの地域で同時の起こったのではないので、経済成長は予想を超えて持続しました。

「一帯一路」構想と習近平

では、これからはどうなるかと言うと、おそらく中国政府は中国料理の出前のような経済発展戦略をとるような気がします。中国政府の「一帯一路」構想は、この中国料理を陸と海からヨーロッパまで広げていく政策のようです。そして、中国料理のメニューは、再び広東料理から洗練されてくると思われます。深圳のハイテク産業が良い例です。更に日本料理、タイ料理、ベトナム料理、インド料理などとのコラボレーションが進んで、ヌーベ ルシノワ(新中華料理)に進化していくと見ています。

最近、中国はアメリカとの摩擦も手伝って、インドへの直接投資や株式投資を大変積極化しています。これは、チャーハンにカレーをコラボさせた、経済のヌーベルシノワ化のように思われます。中国は非常に戦略的です。

いずれにしても、ポストコロナには、世界の経済が再びカレーとチャーハンの時代になるような気がします。コロナ前に長く続いたハンバーガー(アメリカ)中心の時代は終わりかけているようです。