2020年8月25日(No.12)

「オスカー受賞者と偉大なる投資家」

今から20年近く前、私はある旅行会社に頼まれてロサンゼルス・ツアーを企画したことがあります。その時に訪問したUSC(南カリフォルニア大学)のジェロントロジー(老年学)の教授から、興味深い話を聞きました。
アカデミー賞(オスカー)を受賞した俳優は、ほかのノミネートされただけに終わった俳優に比べ、平均で4年(80歳対76歳)は長生きするというのです。それは、カナダのトロント大学の教授が、アカデミー賞にノミネートされた男女の俳優762人を調査した結果でした。

なぜオスカー受賞者は長生きするのか?

(1907~2003)

その名声を傷つけることがないように、外見や行動をきっちりと自己管理し、食事や運動にも十分気を使うようになるためらしいのですが、はっきりとはしていません。USC(南カリフォルニア大学)の教授は“Self-Esteem”(自分への自信)が原因ではないかと言っていました。因みにオスカーを4度受賞したキャサリン・ヘップバーン(写真)は96歳まで生きています。

 

長生きと言えば、以下の偉大なる投資家達もかなり長生きです。

  • フリップ・フィッシャー( 96歳で死去)
    成長株投資の創始者。1955年に、まだ小さなラジオ製造会社だったモトローラを、2004年に死ぬまで保有し続けました。投資の原則は、分散投資の否定と保有期間の永遠です。
  • ジョン・テンプルトン( 95歳で死去)
    米国におけるグローバル投資のパイオリア。第二次世界大戦の勃発で投資家がパニックに陥っている時に、1ドル未満に暴落した株式を大量に拾い集めました。悲観の極みで買い、熱狂時に売ることで財を成しました。
  • ウォーレン・バフェット( 89歳)
    「投資の神様」として知られる世界を代表する大富豪。11歳で株式投資を始めました。ベンジャミン・グレアムのバリュー理論を進化させた長期投資手法で巨万の富を築きました。企業の本質的な価値の見極めを重視します。
  • ジョージ・ソロス( 90歳)
    ハンガリー系ユダヤ人の投資家。元は一文無しの哲学者の様でしたが、1960年代にヘッジファンドを立ち上げ、投資家としてのキャリアを開始。ポンドの空売りで大儲けし、「イングランド銀行を潰した男」の異名を得ます。

なぜ偉大なる投資家達は長生きなのか?

米国の雑誌「ザ・インベスター」は、3つ理由を挙げています。

  1. Job satisfaction(仕事の満足)
    彼らは投資の仕事を愛しています。幸せで生産的な生活は、健康と長寿に繋がります。
  2. Active mentally(精神的に活発)
    投資は脳の活性化に役立ちます。自分が勉強し選択した銘柄で、市場を打ち負かすことが出来れば楽しいですね。
  3. Eustress(良いストレス)
    ユーストレスは、Distressと反対に自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたりする良いストレス、目標です。

私は、彼らがグロースであれバリューであれ、またグローバル投資であれヘッジファンドであれ、それぞれ自分のスタイルを持っていたこと。そして、それを比較的若いときから、ぶれることなく貫き通したことが人並みはずれた運用成果と長生きで充実した人生に繋がったと思います。

キャサリン・ヘップバーン

ハリウッドの黄金期を生き抜いたキャサリン・ヘップバーンも、常にわが道を行く自立した女性の代名詞でした。プライベートでは、これまた強靭な自立心を持ったココ・シャネルが生み出したと言われるシンプルなパンツ・スーツを愛し、独自のライフ・スタイルを貫きました。次はヘップバーンの言葉です。

If you obey all the rules, you miss all the fun”(ルールを全部守っていたら、楽しいこと全部を逃してしまうわ)。

やはり、俳優でも投資家でも、成功と長生きのためには、自分のスタイルを貫くことが大切なようです。