2020年12月25日 発行162号
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ICAS通信
2021年1月号

技術、資金管理、メンタル

新年おめでとうございます!

2020年の株式市場は新型コロナの影響も重なり非常に難しい年でした。さて、今年は丑年、どのような年になることでしょう。

スポーツの世界では高いパフォーマンスを出すために「心・技・体」が必要と言われています。では投資の世界では何が必要なのでしょうか、それは、「技術、資金管理、メンタル」です。

技術や資金管理は数字化できるため比較的マスターすることは容易ですが、メンタルはそういうわけにはいきません。心の状態がどのような状態であるかによってすべてのパフォーマンスが変わってきます。

どんなに資金力があっても、どんなに投資の知識があっても、どんなに経験が長くても、意思決定する瞬間に恐れが生じてしまえば利益を出すことはできません。また過剰な自信や必要以上のポジティブシンキングは大損を招きます。そうならないためにも心の状態を常にベストに保つためのメンタルコントロールが必要となります。


1.勝池レポート

「失われなかった30年が日本を救う」

日本ではバブル崩壊後の約30年間の経済低迷を「失われた30年」と呼んでいます。しかし、私はこの期間に失われたのは経済成長であって、もっと大切ものは失われなかったと思っています。それらは、「健康」「環境」「治安」です。このことは、外から日本を観ているとつくづく感じます。

私はよく世界の主要国の問題を3分の1という割合で説明します。例えば、アメリカ中心の一般的な北米の人口は世界の約6%ですが、その人口の体重は世界の3分の1です。アメリカでは肥満が原因の健康問題(写真)が深刻です。中国では世界の3分の1の二酸化炭素を排出するなど環境問題(写真)が深刻です。インドには世界の3分の1の貧困問題(写真)が存在しました。どうやらアメリカは心臓、中国は肺、インドは胃に悪い国のようですね。

健康問題 環境問題 貧困問題

加えて、近年世界では写真にある様な所得格差や人種対立、民主化運動などによる治安の悪化が非常に心配な状況になっています。このように、世界には経済成長と引き換えに、より大切なものを失ってきた国や地域が数多くあります。

フランス アメリカ 香港

加えて、近年世界では写真にある様な所得格差や人種対立、民主化運動などによる治安の悪化が非常に心配な状況になっています。このように、世界には経済成長と引き換えに、より大切なものを失ってきた国や地域が数多くあります。

しかし、日本でそんな簡単に出生数が増えるはずもないので、この人口には日本に住む日本人の数だけではなく、日本に住む外国人、日本を訪れる外国人、そして海外に住んでいて日本の価値に共感する外国人も含めて経済戦略を立てれば、未来は決して暗くは無いと思います。

日本はこれから、美味しくて健康に良い食品、快適な自然環境、安心な社会、それと可愛いソフトパワーを武器に、この30年間に失われなかっただけでなく、再発見された「健康」「環境」「治安」のクール・ジャパンの魅力で世界に勝負を懸ける時です。アフターコロナはその良いタイミングです。なぜなら、欲しいものがほぼ行き渡った現在の世界で、人々は本当に大切なものは何かと、より真剣に考え始めるはずだからです。

このところアメリカのネット企業大手のGAFAにはずっとやられっぱなしの日本でしたが、彼らが整えてくれたデジタル環境を十分に利用し、人の暮らしにより意味がある商品やサービスをSNSで、物語を付けて世界に配信すれば新しい需要が喚起され、日本経済には人口が増加したのと同じような経済効果が生まれると考えます。

私は、15年程前に新潟の酒造会社の海外展開をお手伝いしたことがあります。その時と今を比べると、日本酒の認知度、配送手段、支払手段などがSNSのお陰で格段に向上、進歩しました。日本の地方には、今まで予想もしなかった大きな可能性が開けています。世界で進展するデジタルトランスフォーメーションを、日本の地方のローカルトランスフォーメーションの起爆剤にすればいいと思います。

以下のグラフは明治元年からの日本の主要輸出品の構成比の推移です。

ご覧のように、日本の戦後の復興期から暫く間は欧米先進国に追いつくため、彼らを模倣したテレビ、ラジオ、カメラなどのオーディオ・ビジュアルを中心とした、視覚と聴覚に関連した商品を製造する産業が、自動車産業と伴に日本経済を牽引しました。しかし、その作戦はもうとうに通じなくなっています。その分野は価格では新興国に、スタイルでは欧米に敵いません。市場も飽和状態です。

これからの日本には、グラフの左側で日清、日露戦争の時の主軸であった、味覚と触覚に関連する商品やサービスを提供する産業を復活させることが、最も重要な戦略だと信じます。
コロナで変わらなければならないのは、テレワークや在宅勤務などのほとんど経済的に意味の無い、働き方や働く場所ではなく、働かせる産業なのです。

2. 株式展望と映画サロン

ムッシュ 望 月

映画と2021年の相場展望

映画「ヒトラーに盗られてうさぎ」と2021年の相場予想。この映画を観ながら何故、ヒトラーに映画「アニーはきっと来る」「この世界に残されて」が何故この時期に、同時に上映されるのかを考えてみました。

前記2作品は迫害されたユダヤ人がベルリンから脱出を試みた家族の話で、後記はハンガリーで起こったナチス・ドイツのユダヤ人虐殺事件の話でした。

ここには、香港問題が横たわっています。多くの香港人が中国共産党から迫害を受け、英国等へ移住しています。この歴史こそが、中国共産党の未来を表しているのではないかと思います。米金融大手のゴールドマンサックスが12月8日に中国金融当局に対して、投資銀行業務を手掛ける現地合弁会社の子会社化を申請しました。承認されれば外資系で初となります。米中対立が続く中、中国政府は金融市場の開放を国際社会にアピールしていますが、逆に米国の中国支配の一歩が見えて来たとも言えそうです。

変化の兆しは、消費者物価指数にも現れ2020年11月は前年同月比0.5%下落し、09年10月以来のマイナスとなりました。経済の正常化が早期に進んだものの、所得回復のペースは緩く、節約志向が根付いています。中国の社債の債務不履行は足元で国有企業にも広がり、2020年11月20日までに1570億元(2兆5000億円)で元利払いが遅れています。

有名な大企業、中国随一の名門大学清華大学に属する紫光集団は16日までに社債13億元が償還できませんでした。習主席が掲げる半導体国産化の主役だっただけに市場には衝撃が走りました。22年には中国共産党の首脳人事を決める党大会が控えているだけに、今後の経済動向は目が離せません。中国も1900年代の日本と同様な悩みを抱えることになりそうです。

日本は何とか経済を立て直す努力をしていますが、12月9日発表の11月の景気ウオッチャー調査によれば、街角景気の現状判断は45.6と前月から8.9Pも低下しました。低下は4月以来7カ月ぶりのことです。感染の再拡大で10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長は大幅な減速が避けられない見通しです。街角景気は株価の先行指標と呼ばれているので、今後の日経平均の上値は限定的となり、調整が余儀なくされそうです。

相場格言に、「子(ね)は繁盛、丑(うし)躓き」とあり、2021年は期待が少し剥がれるかもしれません。

3.株式投資力クイズ問題

最近の政治経済についてからの出題です。問題に挑戦ください。答えは最下段にあります)

1:新語についての問題です。間違いを一つ選んでください。答えをみる

  1. ブラックエレファント(黒い象)とは、いずれ起きると分かっている問題を放置して、大きな被害を起こしてしまう事態。
  2. ブラックスワンは、事前予測が困難で、大きな被害を起こしてしまう事態
  3. 新型コロナウイルスの拡大もブラックエレファントと呼ばれている。
  4. トランプ政権の感染症対策は十分であった。

2:新型宇宙船「クルード・ドラゴン」の打ち上げに関する問題です。どこの会社の宇宙船でしょうか、正しいものを一つ選んでください。答えをみる

  1. スペースX
  2. アリアンスペース
  3. ブルーオリジン
  4. ボイイング

3:コロナワクチンに関する問題です。間違いを一つ選んでください。答えをみる

  1. ファイザー製のコロナワクチンの接種は14日から始まっている
  2. 米バイオ製薬大手モデルナの緊急承認申請は2社目である
  3. 両社の製品ともメッセンジャーはRNAと呼ばれる新しいタイプである
  4. ファイザー製のワクチンの保管温度はマイナス20度である

4:アジアの為替に関する問題です。間違いを一つ選んでください。答えをみる

  1. 韓国の通貨はウォンである
  2. インドの通貨はルピアである
  3. マレーシアの通貨はリンギである
  4. タイの通貨はバーツである

5:スキュー指数に関する問題です。間違いを一つ選んでください。答えをみる

  1. 米シカゴオプション取引所が算出する指数にスキュー指数がある
  2. スキュー指数は通称ブラックスワンと呼ばれている
  3. スキュー指数はオプション市場で「買う権利(コール)」に対して「売る権利(プット)」の需要が高まると指数は上昇する。確率は低いが起きれば大きなリスクとなる。
  4. VIX指数が低下している局面であり、スキュー指数を気にする必要はなく、楽観論で行くべきである。

4. 理事長退任及び新任のご挨拶

退任のご挨拶

NPOイカス 理事長   林 孝男

この度、私事12月末をもって理事長職を退任致します。
竹内さんの後を受け、6年間皆さんに大変お世話になり有難うございました。この会は創立から20年が過ぎますが、私が就任してから気の付く箇所を多少なりとも改善してまいりました。

◆会員制度の見直し

投資クラブ会員と一般会員に分けて明確に参加していただけるように改善し、又投資クラブ会員を正会員と賛助会員に分別し、より多くの方に会の運営に参加していただけるようにしました。

◆インターネットの活用

新サーバーの取得、ドメイン名、メールアドレスの変更と管理を実施しました。又、ホームページを抜本的に変えて見やすく、情報も最新に更新するようにいたしました。毎月の無料メールマガジンも写真や図面を挿入し読みやすくしました。毎月のイベントスケジュールや内容も皆さんが参加し易いように改善しました。

◆組織内改善

会計システムの見直し、パソコン入力の帳簿システム導入を実施。
PR資料、社内資料の新規作成、会員への定期的な情報発信をしてきました。私なりに一応の目途をつけましたので、後は後任に託したいと存じます。今、世の中は個人投資家も増え、それを支援する投資指導の専門家も増えています。NPOイカスもこの先、生き残るためには新しい形態へブレークスルーしていくことが必要と思います。それにはITの活用でデジタル化の推進が不可欠です。今後ともNPOイカスが益々発展していくことを祈願いたします。

 

新任のご挨拶

NPOイカス 理事長 木下 宇一郎

私、この度の林理事長ご退任にあたって来年1月から急遽後任として新理事長職を拝命いたしました。約20年前に我が国における個人投資家の育成と数の増加のため、投資クラブ運営援助サービスを標榜したイカスが発足しました。現在のNPOイカスの原型で、その際に私も発起人として設立に関わった経緯があります。

その後、最近の6年あまりは林さんが理事長としてその類まれなリーダーシップを存分に発揮され、ITを積極的に取り入れると共に、会員組織の再編や業務運営などの面において多大なご尽力により数々の改善を成し遂げられました。心から敬服し感謝申し上げます。今後、その後任として引継ぎを受けた私がどの程度できるかの甚だ心もとない思いではありますが、より一層効率的で活力に満ちた業務推進を目指して微力ながら努力する所存ですので、引き続きご支援とご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。今後ともNPOイカスが益々発展していくことを祈願いたします。

5. イカスからのお知らせ


  • 株式投資塾(昼間編):12月08日(火)16時~イカス事務所
  • 株式投資塾(夜間編):12月15日(火)18時半~イカス事務所

カラオケ倶楽部、年末交流会は新型コロナの影響で中止します。


  1. イカスでは会員制度として「一般会員」と「投資クラブ会員」があります。
    一般会員」・・会費無料、「活かす通信」、各種イベント・セミナー等の案内
    投資クラブ会員」・・希望により正会員と賛助会員に分かれます。年間運営費36,000円、一般会員サービスに合わせて月1回の投資例会を開催しています。
  2. イベントとして「交流会」「IRセミナー」「企業見学会」「カラオケ倶楽部」等を実施しています。
  3. 当メルマガ「活かす通信」の配信登録、アドレス変更、配信解除連絡は〈こちらのメール〉からお願いします。
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【活かす通信】

発行人:特定非営利活動法人イカス

WEB:www.toushi-club.com

*当メールマガジンについてのご意見は以下のメール、
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◇ ◇ ◇

メール:staff@toushi-club.com

電話:03-3432-5859 FAX:03-3432-5869

発行責任者:木下 宇一郎

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【株式投資力クイズの答え】

  1. Dトランプ政権の不十分さを批判するのに使われ、広い層に使われるようになった。
  2. AスペースX
  3. Dファイザー製のワクチンの保管温度はマイナス70度である
  4. Bタイの通貨はルピーであるD、資金の逆流を懸念してヘッジファンドは保険にプットを購入している

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