「2016年1月4日 アベノミクス終わりの始まり」

千葉の県人 鎌田 留吉

イメージおそらく後世の人たちは、2016年1月4日を、「アベノミクスの終わりが始まった日」と呼ぶことになるのだろう。

安倍首相たちは、長い、長い経済停滞に倦み、更に民主党政権のあまりのひどさに呆れかえった多くの国民の関心が、政治的なことではなく、専ら経済にあることを深く、深く見抜いていた。

「三本の矢」というキャッチコピーを始め、異次元の金融緩和という政策も安倍政権には相当の策士やブレインがいることを思わせる。また彼らは日本人の「もの忘れのよさ」を極めて有効に利用する術も心得ていた。ある意味、日本国民を舐めきっているのだ。

そして日本人は彼らの予想通りに反応した。株価さえ上げておけばいいのだよ。それさえ維持できれば、経済が順調なように錯覚し、支持率は確保でき、本当3目論見が実行できる。原発を無理やり再開しようが、解釈変更による実質的憲法改正であろうが、「安心してください!通ります!」そして、しばらく外遊していれば、「安心して下さい!忘れます!」

憲法53条に基づいた国会召集を徹底的に無視し、来るべき2016年の参議院選挙を衆議院と同時選挙にすれば、なんといっても完全に国民から見放された民主党が野党第一党である限り、憲法改正に必要な3分の2は取れる。そのためには国会召集を1月4日にしようと定めた。

そのかわり、株価の上昇のためには、なりふり構わなかった。異次元の金融緩和は円安株高を招き、またそれ自体、株式という金融資産上昇のための有効手段でもあった。需給面でもGPIFに株式投資の比率を大幅に高めさせ、日銀にETF購入を進めさせた。GPIF・日銀・郵貯グループの株式購入等日本国内の需給面を考慮して日経平均25,000円を言う人すらいた。おそらく安倍政権は中国ほどではないにせよ、株価は操作可能だと思っていたのだろう。

そうして、2016年1月4日はやってきた。国会召集の日、傲岸な安倍首相は憲法改正を記者団に語った。それに対し株式市場は日経平均582円安という暴落で答えた。1990年も2008年も1月4日は大暴落で始まったのだ。

グローバル化が最も進んだ金融市場においては、日本国内の需給など極めて僅かなものだ。この3年間外国人がどれだけ買ったのだ? 3分の1以下になった石油価格により、産油国は資産の売却を迫られている。直近は昨年9月29日の安値16,901円も割り込んだ。これから毎日毎日、GPIFの含み損はいくら!日銀の含み損はいくら!国民の大切な年金を破壊した極悪人!中央銀行の健全性の破壊者!そのような声で安倍政権は破綻していくのだ。

2016年1月18記