鎌田留吉レポート
2016年9月19日
『打ち方やめ!』
千葉の県人 鎌田 留吉
筆者近影 |
アベノミクスというパーテイーは終わったと思われるのだが、踊り続けなければならない職業の人たちがいる。それは外国のファンド・マネージャーと称する人たちではない。彼らは、日銀やGPIFが日本株を職務上引き受けざるを得ないのを奇禍として2016年になって5兆円強を売り抜けた。証券業の人たちも、実は踊り続けなければならない人たちではない。稼げるときに稼いで休むこともできる筈なのだ。
あるいは真逆に、「どてん」空売りという手立ても取りうる。むしろ銀行業の人々のほうが、預金集めと貸し出しに常に発破が掛かるものなのだ。
事実今、9月末に向けて「残高」という号令のもと「不動産」に貸し込み競争を繰り広げている。可哀想なのはマンションのデイベロッパーだろう。言葉の定義上マンションを供給し続けなければならない。
イカスの会員のような一般投資家は、本来最も自由度をもった、マーケットの参加主体であるはずだ。踊り続けなければならない人々とは一線を画するべきだ。
パーテイーが終わったと思えば静かに会場を後にすればよいのだ。更に言えば、「どてん」空売りさえも仕掛けるべきだと思う。どんな大相場も必ず天井をつける。そして崩壊を始める。
これは株式市場に長く携わっていた人間ならば、骨身に染みた真理である。同じ金融と言いながら、銀行業を一生の生業としてきた人間には分からないことだ。証券業育ちと銀行業育ちの根本的な差はこの真理を弁えているかどうかの違いにあるとさえいえる。しかし、証券業界の雄、野村証券がかつてとってきた行動は、行くところまで行くという態度であった。それは大きすぎる図体の為、方向転換が容易ではないというのが主たる理由であろうか?
しかし、大相場の過程で営々として積み上げてきたお客様の利益や手数料も、ひと度マーケットが崩落すれば(自己売買部門を加えると)アッと言う間にゼロになり更にはマイナスにさえなるのだ。
もうそろそろこんな愚かしいことはやめようではないか。大相場の天井が近づいてきたと判断したら、機会損失を恐れず、商品本部長が「打ち方やめ !!」と高らかに宣言し、少なくとも攻勢の手を緩めるべきである。そして、密かに撤退の準備を始めるべきである。戦争と違って精神論や兵力論で上昇を続けるものではないからでる。あくまでもその相場のトレンドに従って儲けているにすぎないのだから。
今や5大証券のなかで、銀行系の証券会社三社は社長を銀行出身者が占めている。
彼らは、先の真理を知っていない。アベノミクスは実質的にもう終わったのだ。証券系の2社野村と大和は、勇を鼓してタイミングをみて「打ち方やめ !!」と宣言すべきだ。獲得した真理を「知恵」に高めて。
2016.9.19 記