『内閣官房参与浜田宏一氏の思考力と想像力の欠如』

千葉の県人 鎌田 留吉

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筆者近影

論語に「学びて思わざれば則ち暗く、思いて学ばざれば則ち ( あやう ) し」とある(学ぶだけで思考しなければ生きた知識にはならない。また1人で思考するだけで、他者から学ばなければ独りよがりになってしまう)。

ではどちらが大切だろうかと思いめぐらすと、矢張り論語に「吾 ( かつ ) て終日食らわず、終夜いねず、以って思う。益なし。学ぶに如かざるなり」とある。

学生時代やその延長まではその通りだと私は思う。しかし、ひとたび学者という存在であると名乗ったからには、自分の頭で思考することが主にならなければいけないのではなかろうか?文芸春秋1月号に掲載された浜田宏一内閣官房参与の「『アベノミクス』私は考え直した」という記事を読んでそうおもった。

周知のごとくかれはいわゆるリフレ派の総帥で「物価は貨幣現象」と声高に主張し、黒田日銀総裁もそれに従って、いわゆる異次元の金融緩和を引き起こし、マネタリーベースを大幅に膨らませた。

浜田宏一内閣官房参与(左)と黒田日銀総裁(右)

それから満4年近くが経とうとする今も、インフレどころかデフレに舞い戻ろうとしている。その現象を認めて自らの考えの誤りをかれは詫びるべきであるのだ。なぜなら、この異次元の金融緩和はこれから極めて甚大な弊害を日本経済に及ぼすと思われるからだ。

しかし、彼はインフレが起きなかった言い訳を並べ、今までにまったく効かなかったからこそ、またその累積で膨大な財政赤字を抱えるようになったからこそ金融政策が採用されたその財政に逃げ道を求めるため、ノーベル賞受賞者の意見を引っ張りだす。「私はシムズ氏の論文を読み、衝撃を受けました。金融政策はなぜ効かないのかという問いに明快な答えを与えていたからです」

この人は何を言っているのだろう?インフレにする方法などそれ程たくさんは思いつかないではないか?ノーベル賞学者かなんかの意見で説得力があるかのように権威づけるのではなく、自分の意見として思考の変遷を語れよ!

今までさんざん経済成長あってこそ税収増だという言い訳のもとに、常に失敗し続け、累々と債務を積み重ねてきたその借金を勧めはじめたのである。曰く「国の借金であれば消費者金融などとは違って返済期間もなく、将来世代に繰り延べることもできます。日本の政情が安定していて、次期の納税者が存在する限り、国の財政の長所は、公債を発行して税の繰り延べが可能なことなのです」。このひとには、子供や孫がいないのだろうか?

若ものよ!君たちはもっともっと怒ったほうがいい。きみたちが享受しない福利のために税金を納める気はないと。君たちはもっともっと怒ったほうがいい。

2017.1.17 記