鎌田留吉レポート
2017年3月18日
『空売りの勧め』
千葉の県人 鎌田 留吉
筆者近影 |
株式投資は「安く買って高く売る」ということが基本であるのは論をまたない。しかし、「割高な銘柄を売って安くなったら買い戻す」という投資方法も弁えておくべきであると思う。
持っていない株をどうやって売るのかと思う人がいるかもしれないが、借りて売るのだ。このことを「空売り」と呼ぶ。そういうことができる銘柄を「貸借銘柄」という。
四季報で6502の東芝を開いてもらうと、左上に【株式】という欄があり、そこに貸借と書かれている。また、右下に【証券】という欄があり太字で東京と書かれている。これは東京市場で株を借りて「空売り」ができますよ、という意味である。ただし「空売り」をするためには、取引する証券会社で「信用取引口座」を開設しなければならない。何故「信用」取引口座というかというと、証券会社が信用を供与してくれて、担保の3倍まで投資(投機)をすることができるからだ。自己資金以上の売り買いをすることを、レバレッジ(梃)を利かせるという。
この機会に是非取引先の証券会社で信用取引の口座を開設なさることをお勧めする。それは決してレバレッジを利かせなさいという意味ではない。いつでも「空売り」できる体制を整えていてくださいという意味である。
3月4日の日経の「大機小機」に、過去10年から30年の日米の株価騰落を比較していた。過去30年を例にとるなら日本は0.07%のプラス。アメリカ+8.13%(複利)。それはむしろ当たり前である。この30年間日本のGDPはずっと500兆円のまままだ。想像してほしい。平成元年に500兆円だったGDPが年に1%つまり5兆円収縮するとする。翌年も(話を分かりやすく)5兆円収縮する(つまり490兆円になる)。翌年も5兆円(つまり485兆円になる)。と毎年5兆円ずつ20年間収縮していくとすると20年後には500兆円から100兆円収縮して400兆円になる。
しかし、日本はGDP500兆円がずっと続いてきた。それは赤字国債を発行してGDPを支えてきたからだ。乗数効果を1とすると落ち込むはずだった5兆円ずつ20年間のGDPの集積は(5+100)×20÷2=1050兆円になる。逆にいえば本来日本は、ほぼ1%ずつ経済衰退に陥っていた経済だったといえるのだ。つまり本来は恒常的右肩下がりの経済だったということが言える。
デービッド・アトキンソン氏が2月11日の東京新聞で「日本人の現状認識は甘い」「生産性ベースでは世界30位」だという指摘は極めて正しい。
現在超超金融緩和と2020年の何故か?オリンピックを背景にして、マンションが高値圏に張り付き、大東建託(1878)のようなサブリースの会社が音頭をとる貸家住宅が槌音を高めている。かつて昭和40年不況があり、山一証券が潰れかかったときがある。そして1965年というのは日本国が戦後初めて赤字国債を発行したときである。その年とはつまり、オリンピックの翌年だったのだ。
2017.3.14記