『プロテスタンテイズムの倫理と資本主義の精神』

千葉の県人 鎌田 留吉

アルゼンチン・ペソが急落している。
2018年初1ドル=18.5ペソ程度であったものが4月末20.2になり、5月に急落して22台半ばになった。

アルゼンチン政府は対応策として政策金利を1週間で12.75%も引き上げ40%とし、IMFに緊急融資を要請し、500億ドルの融資枠を獲得した。一時小康状態を保ったが、下げ止まらず、6月15日現在28.1ペソをつけている。

半年足らずで3分の2になった訳だ。日本円で例えるなら、半年で1ドル=100円が150円になったようなものだ。

米国金利上昇により、財政収支と経常収支(その累積としての対外純負債)に脆弱性が見られる新興国から、資金が引き上げられる「既視感」のある出来事が繰り広げられている。しかも、アルゼンチンは2017年(つまり昨年)6月末に7.9%の利回りで何と100年債を30億ドル発行したばかりの国なのだ。

2009年10月に始まったギリシャ危機も、対GDP比の財政赤字が実際は12.7%あったものを、5%と嘘の申告をしていたのが発覚して始まった。それが同様の問題を抱える国々に飛び火し、P(ポルトガル)I(イタリア)G(ギリシャ)S(スペイン)=PIGS(ブタ)と呼ばれたことは記憶に新しい。

これらの国々は言わば常連で、私はこれらの特徴を「ラテン気質」という言葉で総括していた。地中海の温暖な気候(ギリシャ)とラテン気質。ラテンアメリカに至ってはその両方を兼ね備えている。
ラテン民族をウイキペデイアで調べると、ヨーロッパ゜では伊人、仏人、西人、ポルトガル人、ルーマニア人。中南米においてスペイン語、ポルトガル語を母語とする民族とある。

しかし、最近これらの国々の宗教を調べてみて、学生時代に社会科学を専攻する者なら必修の「プロテスタンテイズムの倫理と資本主義の精神」(いわずと知れたマックス・ウエーバーの名著である)そのものであると考えるようになった(写真上:マックス・ウエーバーとその著書)。

宗教改革に於いてルターに特徴的な「天職」という概念が導入され、あらゆる世俗は職業が「天職」となった。そして、一切の欲望や贅沢を禁じ信仰と労働により社会に貢献し、「利潤」が肯定された。
これに対し中世カトリックにおいては、いわゆる世俗的職業は社会生活の体系の中で、低い位置しか与えられていなかった。「聖職者」が宗教的・道徳的に屹立していたのである。
一般人は今風のワーク・ライフバランスで言うならば、明らかに、苦痛であり罰であるワークを早く終えて、ライフを楽しむという思考パターンであった。

非ラテン系の国々とラテン系の国々の宗教比率を比較してみた。(カトリック:C、プロテスタント:P)
アメリカ;P52%:C37%、ドイツ;P41%:C34%、イギリス;国教会、スイス;P47.3%:C43.3%、フィリピン;C85%、ポルトガル;C98%、イタリア;C90%、ギリシャ;ギリシャ正教98%、スペイン;C99%、メキシコ;C96%、ブラジル;C83.3%、アルゼンチン;C90% とあった。

2018.6.18.記