鎌田留吉レポート
2018年8月22日
『日経平均ダブルインバー(1357)のお勧め』
千葉の県人 鎌田 留吉
昔は日経平均を買いたいといっても、買えなかったものだが、今はETF(Exchange Traded Fund)という便利なものができた。株式と同じように売買できる指数連動型の投資信託であり、現在極めて多くの種類が上場されている。
今日はその中でも、ダブルインバース(1357)という日経平均の日次変動率のマイナス2倍の値動きを目指すETFをご案内したい。
というのは、私の親しいご婦人に先般この商品を勧めたところ、証券会社の担当者にリスクが極めて高いという理由で止められたというのである。
その方は1000万円ほどの金額を株式に投資しており、今までに大分利益をだしてきたようだが、現在は10%ほどの含み損を抱えているのだそうだ。
仮にAという株を100万円で買い、10%の含み益が出ているとする。同時にBという株も100万円で買い、これは10%ほどの含み損を抱えているとする。その時どうしても買いたいCという銘柄がでてきたとして、どちらかの株式を売らなければならないとき、あなたはどちら株式を売るだろうか?
私の経験では80%以上のひとがAを売って買うと答える。理由は損を確定したくないから。利益が出ている銘柄は売りやすく、損が出る銘柄は売りにくいというのが人情というものだ。私もファンド・マネージャーになる前はそうだった。しかし、ファンド・マネージャーになるとそのファンドの時価を毎日、毎日値洗いするので重要なのは個別銘柄のどれが上がっているかではなく、そのファンドの時価をどうすれば最大化できるだろうかということを考えるようになる。そして損得に関係なくこの銘柄をいま持ち続けることがよいのかどうかという視点で銘柄を考えるようになる。銘柄入れ替えの視点はただそれだけであり、個別の損得ではない。
また、株式の保有割合という問題も生じてくる。株式投資はよくサーフィンに例えられる。うまく流れに乗って買った銘柄が上昇しているときそれは楽しいものだ。しかしもうすぐ大嵐が押し寄せてきそうだと考えたとき、ひとはどのように行動すべきだろうか?本当のサーファーなら、陸に上がって家に閉じこもり、熱いコーヒーでも飲みながら嵐の通り過ぎるのを待つ筈なのだ。
しかし株式投資という或る種のサーフィンをしている人たちのとる行動は、多く「何もしないこと」である。そして嵐が通り過ぎるのを待っている気でいるのだ。しかし、その行動は、例えるなら、サーフィンに縋り付いて大波に翻弄されるに任せているという営みなのだ。
嵐が来そうだと強く思うならば、本来ならば保有株式を全て売却し、現在の時価総額で確定させ、嵐が通りすぎてから、
おっとりと再び買い直せばよいだけのことなのだ。
ところが含み損を抱えているとき、保有株式のある程度を売って保有割合を減らすということは出来にくい。そこでダブルインバースの登場となる。個別株で1日5%の上下というのはよくあることである。しかし、日経平均で(仮に22000円とすると)2%の下げというのは440円の下げであり、比較的稀なことだ。ダブルインバースはこの時4%上昇する(つまりさしてリスクが高いわけではない)。仮に保有株式の20%をダブルインバースでヘッジするとして、(他の株式が日経平均と全く同じに動くとする=ベーター値が1であるという)日経平均が20000円まで下がる(約10%)とすると(私はそう思っているのだが)10%減価するところが4%の減価ですむことになる。
2018年3月の当欄で詳しくは述べたが、20000円を割ると思っている理由は①NT倍率が歴史的高さになっており日経平均のダウンサイドリスクが高い。②アメリカの利上げによりハイリスクな市場(新興国、上海、日本のジャスダック等々のチャートを是非ご覧頂きたい)から我先にとお金が逃げ出してきており、日経平均に及ぶのは時間の問題であると考えていること等が理由である。
今月は昨夜まで BAIL IN と BAIL OUT について書くつもりだったが、急遽変更した。
2018.8.21.記