鎌田留吉レポート
2018年10月19日
『暴論又は妄論』
千葉の県人 鎌田 留吉
本庶佑氏がノーベル賞を受賞してから、一躍小野薬品のオプジーボが脚光を浴びた。
しかし、イカスの会員の方々には先刻ご承知のことで、むしろこの薬の問題点をこそ思いうかべたことに違いない。
マーケットも発表のあった10月2日こそ買い気配で始まり前日比190円高の3,400円で寄り付いたものの高額な薬価の問題が意識され、引け値は3,308円と陰線で終わった。その後はいいところがなく、10月15日の終値は2,872円を付けている。
オプジーボは2014年9月から使用が認められ、当初は悪性黒色腫のみへの適用であった。それが肺癌にも適用されるようになり、小野薬品の株価も2,000円から2016年4月の5,880円へと駆け上がる。しかし、100mg72万9849円で、年3500万円程かかるということが問題視され、異例の措置で薬価改定時期を待たず2017年2月に半額の100mg36万4925円に引き下げられた。株価も下げに下げ2017年4月には2,200円まで下げたのである。薬価は更に2018年2月に27万8029円に下がり、更にこの11月からは17万3768円に下がる。当初からみると4分の1以下になったのである。それでも年に830万円以上かかる計算になる。
オプシーボのような超高額医薬品についての問題点ははっきりしている。
①あまりに高額であるため、医療保険制度が破綻するのではないか?という問題。 ②従って高すぎる薬は公的医療から外すべきであるという意見。③薬の費用対効果を調べ、一定基準を超える薬は公的医療から外す。④費用対効果の考え方には医療機関から命に値段をつけるべきではないとの反論がある。⑤保険から外せば普及が遅れて、薬価の高止まりを招き新薬開発の意欲をそぐ懸念がある。
私の考えは当初からはっきりしている。日本の国民皆保険制度は世界に優れた制度であり、最優先されるべきは、その維持継続である。そのために必要であるなら、75歳以上と70歳以上の負担率もともに30%に戻すべきである。
まして、日本には、1000万円という血税や国民が拠出した保険料を支払ってまで救われるべき命は存在しない。それが安倍晋三氏であろうが、いたいけな子供であろうが同じことだ。そのような大きな支出が積み重なって、健康保険制度が破綻してしまえば、却って何万人の救われるべき命が救われなくなる。
私には来年小学校に入る予定の孫がいるが、その子が当事者になったとしても同じことを言う。
2018.10.19 記