鎌田留吉レポート
2019年2月25日
平成31年 過大な不良債務の後遺症
千葉の県人 鎌田 留吉
平成の御代があと2ヶ月と少しを残すばかりとなった。
平成とはどのような時代であったか?災害多発の時代ではあったが、「地平らかに天成る」「内平らかに外成る」と願った通り、国内的には戦争のない時代であったとも総括できる。
エコノミスト1月15日号が「平成経済30年史」という特集を組んでいる。その中で吉川洋立正大学教授は、日本経済の30年間を語る上のキーワードを「やはり『バブル』とその崩壊だろう。」と指摘している。そして「戦後の日本経済の歴史の中で、後世まで語り継がれる一大事件だ。」とまで述べている。
バブル崩壊後
- 10年間は不良債権処理問題におわれ
- 98年からデフレーションに陥った。
- 名目賃金が90年代の終わりから下がり始め
- 同時に非正規雇用が増え始めた。
- 自殺者も2万人台だったのが98年から3万人台へと増加した。
- 生産年齢人口の減少をイノベーションによりカバーすべきであるのに、不良資産の処理の後遺症から、現金保有を増やし続け、進取の気性が乏しくなった、とその罪悪を記している。
私も今日の日本の停滞の元凶はバブルの崩壊と不良債権処理の遅れ及びその後遺症であったと思う。GDPが平成31年間の殆どで変わらなかった国など世界中で日本しかない。
前日銀総裁であった白川方明氏が2018年10月に758頁に及ぶ大著「中央銀行」を著している。
白川氏もその中で、「後々まで人々の意識に大きな影を落とす出来事」として「80年代後半に発生したバブル経済とその後のバブル崩壊、金融危機」を上げているのだ。そしてバブル経済から得た教訓として
- バブルのような現象が現に起こりうること、そしていったん起こった場合は、その経済的代償は非常に大きい。
- バブル発生を防ぐために中央銀行は努力しなければならない。甘すぎた規制・監督の影響と長期にわたる金融緩和なしにはあれほどのバブルは発生しなかった、と反省している。
そして「金融緩和政策の修正」の必要性は、それを放置するとやがてインフレが起こるということではなく、問題の本質は「過大な債務の増加」と「過大なリスクテイク」であると今日の目で振り返り、「不良債権の発生が経済を下押すという観点から経済や金融を議論する重要性」を教訓として語っている。
2009年以降世界中で起こった超超金融緩和はアメリカで一時修正の動きをみせた。しかし欧州や日本では、未だに白川氏の教訓が全く生かされていない。
そして2018年現在、世界第2の大国となった中国の民間負債は2008年と比較して世帯部門が767から6,629に企業部門が3,928から22,052に過大化してしまっている(単位10億ドル)。
中国が破綻する、破綻すると、言われ続けてきたが、いよいよ実体経済悪から不良債務の山を築くことになるのか?
2019.2.19 記