「鬼 門」

千葉の県人 鎌田 留吉

令和の御代を迎えた。新元号になったからといって全てが新しくなる訳ではない。平成の時代から引きずっている問題は数多い。金融面で言えば異次元の緩和とETF買いをいつ終わらせるのか?黒田氏が責任をとると言って辞めて済む問題ではない。


日立会長 中西宏明氏(週刊ゲンダイ)

令和を迎えた日本にとって「鬼門」と言えるものが確かにあると思う。それは原子力発電だ。2011年3月11日をもって、原子力発電は日本にとって「鬼門」となった。

君子危うきに近寄らず。鬼門には決して近寄るべきではない。むしろ逃げて、逃げて、逃げまくるべき存在である。しかし、日本の一部の愚かな指導者はその鬼門に近づこうとしているようにみえる。

あの震災によって、原発に対する考え方が、先進国を中心に世界的に大きく変わった。安全基準が厳格化し、建設コストが高騰した。それにも関わらず、井の中の蛙なのか日本の似非リーダー達は原子力発電に積極的に与しようとしているのだ。

地震大国日本で、地球が活動期に入ったことが明らかな時代に、地震のことが全く考慮されずに助成金漬けで建設された既存原発を維持するばかりではなく、技術の劣化を避けるという説得力のない理由を掲げて、基本的にはサンクコストに捕われ、又は今やただ単に記憶力が良かっただけに過ぎないと誰もが気付いている「官僚」の「無謬性」という大嘘を維持するため、更に自分たちの選択の誤りを糊塗するため、幻想でしかなかった譫言を口にするのだ。


東京電力会長 川村隆氏(mixi)

あの大東芝が潰れかかったのも、ウエステイングハウスという原子力発電の会社を身内に取り込んだからだ。日立が建設費高騰で3000億円という巨額の損を出し英国の原発に白旗を揚げたのも、三菱重工がトルコの原発で世間を騒がせているのも、原子力発電という「鬼門」にすり寄っていったからだ。

世界史上唯一の原子爆弾の被害国のこの日本で、世界史上最悪の原発事故を引き起こし、廃炉作業の全く進んでいないこの日本で、原発推進論者の安倍晋三氏が総理大臣を務めている限り、原発推進論者の日立会長中西宏明氏が経団連を率いている限り、また中西氏の前任で日立会長を務めた東大工学部で原発を学びガチガチの原子力発電信者である川村隆氏が東京電力会長を務めている限り、令和の御代も相も変らぬ停滞が続くに違いない。 


令和元年5月21日記