イカス概要

設立運営・規約作成ガイド

1.まず、仲間を募ります。

人数が多すぎると意見をまとめるのが難しくなります。かといって、少なすぎると投資資金が小さくなって、購入できる株が限られてしまいます。

だいたい10人から20人の間、15人前後が一番運用に向いているようです。

その際、クラブ加入者の最低限の条件は以下の通りです。

  • 18歳以上の個人であり、破産者、禁治産者でないこと。
    ※20歳未満の方は、親権者の確認書が必要です。

また、クラブ設立にあたっての基本ルールは以下の通りです。

  • 民法上の組合としての基本事項(民法667条第1項:組合契約は各当事者が出資をもってして、共同の事業を営むことを約束してその効力を生む)を満たしていること。
  • 投資運用の一任が行われていないこと。
  • 一部のメンバーがクラブの業務執行に関して報酬を得ないこと。
  • 不特定多数の者によって組成されたクラブではないこと。

2.以上を確認したら、次は発起人会の開催です。

  • 投資クラブでは、次のことは厳禁です。
  • 誰か外部の人に運用を任せること。
  • クラブの会員一人に任せきりにすること。
  • 耳寄りな内部情報を集めること。
  • 多額の資金を集めて相場を操縦すること。
  • 会員の間で投資の責任をなすりあうこと。

お金を扱うクラブですから、公正に、上手に運用するためには各個人の心構えが重要です。

投資クラブ設立に向けた第1回の集会(発起人会)では、以下の項目について話し合い、決定していきます。

  • クラブ名を決める
  • 拠出金額を決める

投資クラブのコツは長く続けること。「継続は力なり」です。そのためには、あまり負担にならない金額を出し合うように決めるのがよいでしょう。

みんなが納得するまで話し合い、あなたのクラブに合った金額を決めましょう。

  • 規約を作成する
    次項以下で詳しくご説明します。
  • クラブ役員を選ぶ
    次項以下で詳しくご説明します。

3.役員を選出する。

(1)代表を決める

投資クラブを代表する人(代表者)を決めましょう。

代表の役割はクラブによって違いますが、会のとりまとめをするリーダ役を決めておかないと会の成立がなかなか進みません。代表は発起人の中から選びます。

リーダシップを取れる人、投資クラブの運営に前向きな人、世話好きな人。どんなタイプの人をリーダにするかで、投資クラブの性格が決まっていきますから、時間をかけて選びましょう。いやがる人に役目を押しつけてもうまくいきません。

(2)業務執行者を決める

株を買う、売ると決めたときにそれを実行する担当者が業務執行者です。

証券会社や銀行に注文を出しますから、的確な指示を与える能力が必要です。証券会社の取り決めなどを知らないで、勘違いして間違った指示を出してしまっては大変です。

最初のうちは、ある程度株に馴染みのある人にお願いするほうがよいでしょう。

(3)会計責任者を決める

クラブのお金にかかわるすべての業務を取り仕切ります。

細かいお金の出し入れ、直近の株価を使ったクラブの資産(会計)報告などを担当します。

同時に利用する証券会社の選定も行います。投資クラブの役員の中から1名を選びクラブを代表して口座開設します。

(4)監査役を決める

クラブの運営、会計の監査を行うお目付け役の役目です。

不正が行われていないか、クラブの運営が一部の人たちの意思で動かされていないか、目を光らせてもらいます。

会計の監査をしますので、経理の知識があると一番よいのですが、そうでなくても常識的なセンスがあれば充分つとまります。

公正無私な性格で、誰もがその言葉に耳を貸す人にお願いすれば丸くおさまるでしょう。

(5)議長を決める

例会(クラブ発足後の月一度の集会)で議長役を務めるかは会の運営上、大きな影響を与えます。

通常、代表者が議長役を兼ねることが多いです。会員間で意見の対立があったときの仲裁などをするときに、立場上代表だとやりやすいからです。

しかし、議長役は気骨の折れる役目なので毎回持ち回りにするクラブもあります。

議長が議事録を作成するクラブもありますが、別途書記をおいてもよいでしょう。

(6)役員選出の際の注意事項

代表者、業務執行者、会計責任者、監査役、議長、書記。

今まで述べてきた役に選任された会員には、どの役割をとっても、大きな負担がかかります。時間がかかるだけでなく、気苦労も大変なものです。

しかし、投資クラブの性格上、彼らに報酬を支払うことはありません。その代わり、彼らの負担を軽減する工夫をしてあげてください。持ち回りにする、任期を短くする、外部のサービスを活用するなど。

さあ、これだけ決めておけば大丈夫。次は規約の作成に取りかかりましょう。

4.規約を作成する

クラブの規約作成には、じっくり時間をかけてください。全員が納得して合意することが重要です。

NPO法人イカス や日本証券業協会ではひな型を用意していますので、それを利用すれば便利です。

運営を始めた後、不都合な点が出てきたら、適宜変更してください。

○○○○ 投資クラブ規約(例)

(名称)

第1条 本クラブの名称は○○○○クラブとする。

(目的)

第2条 本クラブは会員が有価証券投資など経済に関する知識を学習し、会員間の交流を深め、共同で資金を拠出して共同の投資活動を行う。

(会員の資格等)

第3条

  1. 会員は個人でなければならない。
  2. 会員は経済と投資活動に関心のある知人・友人で構成する。
  3. 会員は本クラブの開催する例会及び総会に出席できる者とする。
  4. 証券会社及び証券関係業務を業とする会社の役職員等は本クラブの会員となることはできない。
  5. 会員は原則としてeMailその他のインターネットシステムを本クラブの活動連絡手段として使用する。
  6. 会員の人数は5名以上20名以内とする。
  7. 会員は本規約を十分理解し同意しなければならない。
  8. 本クラブ設立後の中途入会会員は既存会員の紹介及び既存会員全員の同意があり、上記各項に該当する者でなければならない。

(出資金及び投資資金等)

第4条

  1. 会員は原始として投資資金として別途定められた金額を本クラブの設立時に拠出する。
  2. 会員は追加の投資資金として、会員4分の3の賛同により、投資資金の増額をすることが出来る。
  3. 中途入会会員の出資額は、所定の方式により共有資産の時価総額から割り出された金額とする。
  4. 会員は本クラブの運営費として別途定められた額を支払うものとする。

(会の運営細則等)

第5条

  1. 本クラブはその運営のため例会と総会を開催する。
  2. 例会は毎月定められた日に開催され、投資の決定等本クラブの目的とする活動の承認等を行う。例会は会員の過半数の出席により成立し、例会の議決は出席者の過半数の賛成を必要とする。賛成・反対が同数の場合は議長採決によるものとする。
    尚、例会に欠席する場合でも出席者に決議委任を表明した場合は出席人数に加えることができるものとする。
  3. 総会は毎年決算終了後1ヶ月以内に開催され、規約の改正、役員の解任・選任、会計年度報告の承認、口座開設先の変更、会員の除名等を行う。総会は会員の3分の2の出席により成立する。総会の議決は出席者の3分の2の賛成を必要とする。但し会員の除名決議については4分の3の賛成とする。
  4. 例会の決議によって定例の例会を臨時の総会とする事ができる。
  5. 規約にない問題が発生し緊急性を要する時は、代表者の判断に委ね事後例会又は総会にて確認・決定するものとする。

(退会)

第6条

  1. 会員はやむを得ない場合、退会届を提出し退会することができる。
  2. 会員は正当な事由がある場合、総会の決議により除名される。当該会員には予めその旨通知しなければならない。
  3. 会員は死亡、破産、禁治産、除名の場合、退会する。
  4. 本クラブから退会しようとする会員は、各月の例会前に退会を申し出し、クラブによって定められた時点の時価総額に基づいた金額の払い戻しを受けることができる。

(役員等)

第7条

  1. 本クラブは役員として代表者、業務執行者、会計責任者、監査役を置く。
  2. 各役員は総会の決議によって選任される。その任期は1年とし再任は妨げない。
  3. 代表者は本クラブの事業に関する行為につき本クラブを代表し、例会及び総会の議長を務める。
  4. 業務執行者は本クラブの有価証券投資に係わる業務を行い、事務処理の状況を会員に遅滞なく報告する。
  5. 会計責任者は本クラブの会計に関する業務を行い、帳簿を作成し本クラブ名義の帳簿を安全かつ確実に管理する。
  6. 監査役は本クラブの業務運営及び会計の監査を行い、定例の総会にて結果を会員に報告する。

(証券会社口座開設)

第8条

  1. 会員は業務執行者が本クラブの投資に係わる口座を所定の証券会社に業務執行者名義で開設することに同意する。
  2. 会員は業務執行者が所定の証券会社に業務執行者名義で口座を開き、その口座により株式売買をすることに同意する。
  3. 本クラブの所有する有価証券は所定の証券会社による保護預りとする。

(投資の対象、売買、税金等)

第9条

  1. 本クラブの投資対象は国内外の証券取引所に上場されている有価証券とし、インサイダー取引に該当するおそれのある銘柄は除外する。
  2. 本クラブは金銭消費貸借等債務が生ずる契約は行わない。
  3. 本クラブの投資資金により取得した有価証券は会員の共有資産とし各会員は均等額の共有持分を有する。
  4. 業務執行者は例会の決議に基づき有価証券等の売買注文を執行し、事後遅滞なく監査役の確認を得るものとする。
  5. 有価証券等の売買運用損益・株式配当金等は各会員に対して均等に帰属する。基本的に運用益等は分配できるものとする。

(議事録・会計帳簿等)

第10条

  1. 会計責任者は例会ごとに議事録を作成するものとし、例会の都度前回議事録の承認を得る
  2. 本クラブは会計について会計帳簿を作成し、例会の都度資産及び収支の内容の承認を得るものとする。また、各会員の持分に係る計算書を作成し定期的に会員に提示する。
  3. 会員は、議事録・会計帳簿その他業務に係わる帳簿を随時閲覧できる。

 

(会計年度)

第11条 本クラブの会計年度は、毎年○○月1日から翌年○丸月31日までとする。

(存続期限・解散)

第12条

  1. 本クラブの存続期間は拠出金払い込み完了後1年間とする。但し、存続期間は総会の決議により延長できるものとする。
  2. 会員減少その他やむを得ない事由により、本クラブの維持・継続が困難となった場合は存続期間内であっても解散する。
  3. 本クラブを解散する場合は、共有資産を各会員の持分に応じ手配分する。

(外部との関係)

第13条

  1. 本クラブが外部からの情報を利用する場合には予め例会の決議を必要とする。但し、投資一任契約締結の決議はできないものとする。
  2. 本クラブは証券会社及び証券関係業務を行う会社と必要以上の情報等の授受 は行わない。
  3. 取材など外部からの本クラブに関する情報を求められた場合は、代表がその妥当性を考慮して対応を決定する。但し個人のプライバシーに係わる場合には当該各会員の了解を得なければならない。
  4. 役員はクラブ運営サポートについて特定非営利活動法人イカス(イカス)の支援を受けることができる。

【附則】

  1. 第3条 8項の既存会員全員の同意は、入会希望者が例会の1ヵ月前までに申し出て例会で承認されたものでなければあらない。
  2. 第4条1項の金額は1会員300,000円とする
  3. 出資金および投資後の残金が出た場合は別途定める業務執行者名義の証券会社の預金口座に預けるものとする。
  4. 第4条3項の方式は、退会を申し出た次回の例会の貸借対照表に基づき本クラブの共有財産の総額を算出する方式とする。具体的には、例会にて決定する。
  5. 第4条4項の金額は月額3,000円とし、年額36,000円を一括支払うものとする。但し、中途入会者は、年ベースを月額換算で支払うものとする。
  6. 第5条2項にある、毎月の定められた日とは、原則として第3金曜日とする。
  7. 第6条の退会日は原則として毎年9月末とし、4項の方式は決算年度終了時の株価に基づき当該会員の持ち分を算出する方式とする。具体的には、例会にて決定する。
  8. 第8条1項の証券会社はネット証券会社(後日決定)とする。
  9. 本クラブ規約の弟9条(投資の対象、売買、税金等)を補足するものとして下記の通り所有株式の売買に関する細則を設ける。
  10. 本クラブの住所を平成○○年○○月○○日に東京都港区新橋3-16-12横山ビルとする。

【細則―1】(所有株式売却方法)

例会にて株式購入を決議する際は、購入予定金額の売却方法に関しても以下の分類に基づき定めるものとする。

  • 定率売却銘柄(上限20%、下限10%ルール適用銘柄)
    ここに分類される銘柄は、値上がりによる利益または値下がりによる損失を確定するため、市場における株価が購入価格の120%以上、または90%以下となった場合は業務執行者によって1ヶ月以内に売却される。
  • 任意価格売却銘柄
    ここに分類される銘柄は、原則として長期保有により定率売却銘柄を上回る値上り享受を目的として購入されるもので、その売却価格は例会において規約第5条2に則り個々に適宜任意に議決されるものとする。

新規設定:○○○○年○○月○日

 

全会員はここに本規約を承認し年月日とともに署名捺印する。